20230927 無職3ヤバ6

アニメ「無職転生異世界行ったら本気出す~」を3話まで観た。
友達がここ最近ですごくハマっているのを横目で見ていて気になったので観た。自分は直接おすすめされるよりもハマっている姿を見せられる方が作品に触れてみようという気になる。

今のところ,すごく平和だ。無職で人生が詰んでいるような男がトラックに轢かれて転生し,異世界へ転生する。魔術の類稀なる才能から両親に驚かれ,家庭教師をつけられるといったような話。ここまで聞くと世に氾濫しているなろう系作品の1つだと思うだろう。自分はこういったなろう系作品はあまり好きではない。ただ,この作品は自分がなろう系への偏見を持っているにも関わらず,今のところ面白く読めている。

それはきっと,この作品がただテンプレに則っただけというわけではなく,そこに至る過程をしっかり描いてくれているからだろう。例えば,主人公は2話時点で師匠の使える最大級の魔法を会得するのだが,ただなんかやったらできました,ではなく,主人公が乳幼児の頃から魔法に興味を持って繰り返し練習する過程をしっかり見せてくれるので,技の習得率が速いのに納得できる理由がある。
また,全て順調に主人公の思い通りにいくわけではなく,例えば3話では初めて出来た友達の性別を間違えてちょっとした問題を起こした時,ちょっとしたギャグで済ませるのではなく,これまでの人生で経験したことのない友人との仲違いに困惑し,親に相談し,解決方法を探っていくというプロセスを踏んでいるので,しっかりと心理的な壁を乗り越えるというフェーズがある。
これはネットで手に入れた偏見だが,なろう系作品は基本的に読者に気持ちよくなるために書かれているため,これといった挫折や苦難がなく,俺TUEEEEEで無双するのが鉄板だと思っていたので,主人公の段階的な成長が見られるこの作品は自分の中の偏見を打ち壊してくれた。また,主人公は世の中を冷めた目で見ていて,異世界のキャラクターのことを俯瞰した目線で冷笑するというのもなろう系あるあるで,無職転生はその点はあてはまるのだが,まあそこは無職であるという人物像をみれば納得できる部分ではあるので気にならない。

そんな感じで人物が丁寧に描写されていて,2話は家庭教師のロキシー,3話は友達のシルフィと主人公ルーデウスとの関係が綿密に描かれるわけだが,怖いよ!!!!!友人から「この作品は辛すぎる……」と繰り返し聞かされているため,どこで平穏がブチ壊されるのか気が気でない。2話のロキシーの「この村周辺には弱いモンスターしかいない」という発現すら,両親やロキシーが突然現れた強力なモンスターに蹂躙されるフラグに聞こえてしまう。個人的に好きなロキシーが2話で退場したのは悲しいけれど,生存している状態で旅に出てくれて良かったとも思った……これから訪れる街で死体として見つからなければいいけど。

 

あと,「僕の心のヤバいやつ」の6巻を読んだ。ついに告白しちゃったねえ!?!!?
ただこの作品まだ連載中なんだよね……作者ののりお先生は過程を楽しみにしてほしいと書いていたけど,もしかして付き合ってからのこともやってくれるのかな!?

前も書いたが,この作品は市川の一人称視点で描かれる物語なので,山田が何を考えているか分からないというのがやはりミソな気がする。ここから実は山田は市川のことをからかっていただけでしたなんて可能性もゼロではない。そしてそんなことを考えている自分は,前半の自分に自信がない市川と同じ思考回路なのかもしれない。

実際のところ,市川は自分の気持ちに素直になれないだけで,甲斐性のあるイケメンであることは十二分に伝わってくるので,山田が市川のことを本気で好きになっちゃうのも分かる。
自分の解釈になってしまうが,山田は最初の方は市川のことを恋愛的な好意対象としては全く見ておらず,小動物を可愛がるような目で見ていたんだと思う。それが,上で挙げたような市川のかっこよさに段々触れていく内に,好きだという気持ちが徐々に芽生えていったように感じる。この好意が少しづつ殻を破っていった市川の正直な気持ちの上に成り立っているものだと思うと感慨深い。

それで,前回書いた自分がこの漫画を読んでいてニヤケが止まらない理由,なんか色々書いたがやっぱり微笑ましさだと思う。自分の感情に素直になれてよかった。

桜井のりお先生はなんとなく前から日常系漫画として知っていた「みつどもえ」の作者だということも分かったので,今度読んでみたい。個人的に僕ヤバはこれまで読んできた漫画の中では別格とも言えるぐらい好きかもしれない。