20240128 アンリアルライフ感想

アンリアルライフをクリアした!
195にもう会えない喪失感がすごい…
 
物語の最終的な着地点として、現実は変えられないけど、主観的な感性によって自分の世界は彩られるというメッセージが感じられて、自分も同様の観念をこれまでで獲得してきたので最後の方は首を縦に振りながらプレイしていた。
今の自分だからこそ俯瞰してこのゲームをプレイできたけど、主人公のハルちゃんと自分のかつての境遇はかなり近い部分があったので(イケメンに好意を向けられている点を除き)、中学生くらいの自分がこのゲームに触れていたら今とは違う特別な思いをこのゲームに抱いていただろう。
 
このゲーム独特の落ち着いた雰囲気で、かなりこの世界のことが好きになった。この世界にもう少し浸っていたい。
このように感じるのはただこのゲームが落ち着いている、というだけでなく、細やかなフレーバーテキストや雰囲気作りがこのゲーム全体の世界観の構築に一役買っていたからだ。こういう点は制作者の意向が反映しやすいインディーゲームの強みであるように思う。
ゲームを作るにあたって参考になる、取り入れたい部分も多々ある良いゲームだった。以下、その例
・195や住人との掛け合い
 特に少し抜けているところのある195とプレイヤーのハルのことを気にかけてくれるカセリにはかなり愛着を持った。まさか信号機を好きになるとは思わなった。
・シーン描写
 窓の反射に映るハルの顔のスチルを見てこのゲームはいいゲームだと思った。その他にも、何気ない場面でカメラを引いたり、視点を移動したりしてドラマチックな場面を演出するのがとにかくうまい。最後の方でカセリと橋の上で話すときの沈黙は文学を感じた。
・「くじら」のピアノ
チェックした時のフレーバーテキスト「誰もいないのに音が鳴ってる」。このフロアはbgmがゆったりしたピアノで演奏されており、粋すぎる。あちらの世界でも同じように音が鳴っていることが分かって、bgmがただのbgmでなくなった瞬間だった。自分のゲームでも隙があったら実装したい。
 
展開も最後まで予想できなくて面白かった。現実を舞台にした作品で非現実的なモチーフのキャラクターがたくさん出てくると、想像の中の世界とかかなと予想していたが、まさか走馬灯だとは思わなかった。
偽先生の存在も、この世界のバグのようなものだと思っていたら自分自身だったとは。道理でハルの身体を無理やり動かせるわけだ。最後に全部わかって気持ちよかった。
この作品で敢えてマイナスな点を挙げるのなら、一部bgmがこの作品に対して壮大でありすぎる点が気になった。
 
最後のクレジットで「hako生活」が続くのかっこいい。こうなりたい。
はるまきごはんさんはボカロをちょくちょく聞いているが、この作品に関わっているのを知らなかったのでクレジットで名前が出て驚いた。
いいゲームでした。